ファクタリングは、自社の経営状況が悪くても売掛先の経営状況が良ければ、スムーズに資金調達ができます。
また、銀行融資やカードローンに比べて審査スピードが早いのが一般的のため、すぐにお金が必要な会社にとって非常にありがたい資金調達方法でしょう。
しかし、残念ながらファクタリングの契約において、トラブルが起きているケースもあります。
そこで今回は、トラブルが起きないようにするファクタリングの契約について説明をします。
あなたがはじめてファクタリングを利用するなら、あらかじめ契約の流れや注意点をつかんでおけば、契約がスムーズに進み、資金調達は早くなるでしょう。
- ファクタリングの契約は、「売掛債権譲渡契約」
- ファクタリング契約時には、以下の4点に注意
- ファクタリングの契約内容はよく確認する
- 高額取引や初回利用時は極力対面で取引をする
- 少しでもおかしいと思ったら契約しない
- ファクタリングの契約書は必ずもらう
- ファクタリング契約書は、以下の8点を確認
- 手数料
- 債権譲渡登記の有無
- 償還請求権の有無
- 担保設定の有無
- 報告義務の有無
- 違約金等
- 契約期間
- 契約解除
ファクタリング契約とは?

ファクタリング契約とは、ファクタリングを利用したい人とファクタリング会社との間で法的な責任関係を文書によって明確化することを目的とするの「売掛債権譲渡契約」です。
ファクタリングでは、数十万円から数千万円にもおよぶ売掛債権の売買をするため、正式な契約を取り交わさずに口約束で済ませることは非常に大きなリスクとなります。
ファクタリング利用の流れ

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、どちらの方法を選択するかで、手続きが変わりますが、ここでは共通の契約の流れを説明します。
- 相談
- 申し込み
- 必要書類の提出
- 審査
- 契約
- 振込
まずファクタリングを利用するかを決める前に、多くのファクタリング会社が「事前相談」や「無料見積り」といったサービスを提供しています。

正式な申し込みには必要書類を準備する手間がかかります。
しかし事前相談や無料見積りなら、売掛金の概要さえわかれば、ある程度の利用可否の見通しが立てられるため、できれば事前相談をするのがよいでしょう。
ファクタリングの申し込み方法はファクタリング会社によって異なりますが、次の4つの方法が一般的です。
- 来店
- 電話
- 郵送
- インターネット
オススメはインターネットを利用した方法です。
多くのファクタリング会社が公式サイトに「無料問い合わせフォーム」や「無料見積りフォーム」といった、申し込み用のフォームを用意しています。

問い合わせの履歴も残るので、ぜひインターネットを利用して申込みをすることをオススメします。
中には契約までインターネットを利用してできるファクタリング会社もあります。
ファクタリング会社への来店にかかる移動時間や交通費が不要なので、低コストで素早く資金調達ができるため、非常にオススメのサービスです。

ファクタリングでは銀行融資等にくらべて必要書類は少なくて済みます。
以下のようなものが必要になることが多いようです。
- 売掛金証明書類(請求書など)
- 法人・事業の説明資料
- 過去の決算書、または青色申告書のコピー
- 資金繰り表や預金通帳のコピー
- 税金・社会保険関係書類
提出を要求される書類はすべて審査に利用され、内容をきちんとチェックされます。

ファクタリング会社によっては他社より必要書類が多い場合もありますが、それだけきちんとした審査をしてくれているので、大変ですが協力を惜しまないことが大切です。
ファクタリングの審査は、書類だけで行われるわけではありません。
利用者がどんな人物で、どこまで経営をわかっているかも審査結果に大きく影響します。
少なくとも以下のような情報はきちんと整理して伝えられるようにしておきましょう。
- 事業内容
- ファクタリング利用を希望する理由
- 取引先の事業内容・取引状況
- 取引先のファクタリング利用への内諾
(3社間ファクタリングのみ)

事業主として「当たり前のことを当たり前に把握・管理できているか」次第で審査結果は変わります。当然、手数料にも大きな影響を与えますので、しっかり準備をするようにしてください。

利用者とファクタリング会社の間で契約書を取り交わします。
契約書には、ありとあらゆる状況を想定した契約事項が記載されているはずです。そして優良な業者であれば、契約書を漏れなくきちんと説明してくれます。
なお、3社間ファクタリング利用時は取引先の印鑑も必要になります。
ファクタリング会社から、利用者の口座へ振込があります。
ファクタリング契約時の4つの注意点
ファクタリングは歴史が比較的浅く、日本では法整備が行き届いていない現状があります。
そのため悪質業者によるトラブルも多く、自分(自社)の身は自分で守る必要があります。そしてトラブルを防ぐには慎重に契約することが必要です。
ここでは、ファクタリングでトラブルを未然に防ぐためのポイントを解説します。
- ファクタリングの契約内容はよく確認する
- 高額取引や初回利用時は極力対面で取引をする
- 少しでもおかしいと思ったら契約しない
- ファクタリングの契約書は必ずもらう
①ファクタリングの契約内容はよく確認する
ファクタリングの契約内容は、よく確認するようにしてください。
もし、内容がわからない場合は、自分で調べるようにしましょう。
もちろん、ファクタリング業者に聞くのも良いですが、曖昧にされる可能性もありますので注意が必要です。
特に、売掛金などの売掛債権を担保にする場合や公正証書を作成するなどの文言があるときは注意するようにしましょう。
契約上問題なければ良いですが、過剰な内容を飲み込むのはやめてください。
契約時は良くても後々大きな問題に発展する可能性がありますので、契約内容についてはしっかり確認してください。
契約書の確認ポイントは次の章で説明します。
②高額取引や初回利用時は極力対面で取引をする
ファクタリング業者の中には、残念ながら悪質な業者もあります。
インターネットである程度スクリーニングはできますが、実際に契約してみないとわからないところも正直ありますので注意が必要です。
特に高額取引や初回利用時は極力対面で取引するようにしましょう。
オンラインでの取引が進んでいますが、なんだかんだ対面の方が質問しやすいですし安心して取引ができます。
また、相手の雰囲気や表情を肌で感じることで、良い業者か悪い業者かを判断することもできるでしょう。
2回目以降の利用や金額があまり大きくない場合は、オンラインでの取引でも良いかもしれませんが、極力金額が大きい場合や初回取引の場合は対面での取引をするのがおすすめです。
③少しでもおかしいと思ったら契約しない
ファクタリングを初めて利用する方の場合、難しい言葉が契約書にはたくさん出てくるので躊躇してしまうかもしれません。
ファクタリングを利用する際は、インターネットで「ファクタリング 契約書」と調べると、ファクタリングの契約書の雛形について見られますので確認してから契約を結んだ方が良いでしょう。
また、何かおかしなことを感じたら絶対に契約してはいけません。
質問をして解決すれば良いですが、質問してもはぐらかされてしまい、契約書に書いてある内容とは違う内容を説明されるケースもありますので決して気を抜くようなことはしないでください。
④ファクタリングの契約書は必ずもらう
契約時には、原則としてファクタリング会社とあなたとで各一通ずつ契約書を取り交わします。
相手側にだけ契約書があるのでは、契約内容を変え放題です。
ファクタリング業者の中には、「印紙代の節約になるから」という理由をつけてファクタリングの契約書をファクタリング利用者に渡さないケースがあります。
契約書の控えは、後々、万が一トラブルが起こったとき非常に重要なものになりますので、必ずもらうようにしてください。
もし、ファクタリングの契約書を渡すのを嫌がる業者であれば、悪質な業者の可能性が高いので、契約を取り消しするようにしたほうが無難でしょう。
そもそも印紙代の節約になるからといった理由で契約書を渡さないなんて社会的にあり得ません。
違法行為に加担することにもなりますので、必ずファクタリングの契約書はもらうようにしてください。
ファクタリング契約書の8つの注意点

ここでは、ファクタリングの契約書を取り交わす際に、チェックしておくべき8つのポイントを解説します。
- 手数料
- 債権譲渡登記の有無
- 償還請求権の有無
- 担保設定の有無
- 報告義務の有無
- 違約金等
- 契約期間
- 契約解除
①手数料
ファクタリングは手数料が高額になりがちな金融サービスです。特に売掛先に通知せずに使えることで人気の2社間ファクタリングの場合は、手数料が売掛金額の5%〜30%にもなります。
手数料が数%違うだけで数十万円〜数百万円もの損失が発生するのですから、絶対に気を抜けません。
ファクタリングの手数料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、悪質な業者は、よくわからない名目の手数料を請求書に忍ばせることがあります。
一方で、優良業者であれば手数料の請求内訳をわかりやすく説明してくれます。
疑問に感じた点は遠慮なく質問し、納得できる説明がなければ契約は中止しましょう。
②債権譲渡登記の有無
ファクタリングでは債権譲渡登記は必須ではありません。
しかし、2社間ファクタリングで高額の債権を取り扱う場合は、何かあったときにファクタリング会社が債権譲渡を主張できるように、リスクヘッジとして登記を行うことがあります。
債権譲渡登記をすれば権利関係が明確になり、わかりやすいのですが、登記情報を見れば3社間ファクタリングでなくてもファクタリング利用が外部にバレることがあります。
債権譲渡登記はしないほうがよいというわけではありません。リスクと費用負担を天秤にかけた上で、選択してください。
③償還請求権の有無
ファクタリングでは償還請求権がない契約(ノンリコース契約)が一般的です。
償還請求権付のファクタリング契約は、売掛先から資金を回収できなかった際に、ファクタリング利用者がそれを弁済しなければいけない不利な契約です。
償還請求権があるファクタリングは、ファクタリングではないという弁護士の指摘もありますので、基本的には償還請求権のあるファクタリング契約は締結しないほうが良いでしょう。
④担保設定の有無
ファクタリングは売掛債権の売買ですので、融資のように担保設定が必要になることはありません。
担保の設定がある場合は、ファクタリング契約を偽装した担保付融資を行おうとする悪質業者である可能性が高いといえます。
⑤報告義務の有無
一般的なファクタリング契約では、売掛先の状況についてファクタリング業者に報告することは、ファクタリング利用者の義務となっています。
というのも、売掛先に何かあった場合、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなり、損失を被ることになるからです。
⑥違約金等
2社間ファクタリングで、利用者が期日までに返済しなかった場合は、違約金や損害賠償が発生する可能性があります。
ファクタリング契約の際は、違約金や賠償金等の設定が妥当なのか、よく確認しましょう。
⑦ファクタリングの契約期間
通常、ファクタリングは1回の取引で終了する契約を結びます。
しかし、ファクタリング会社の中には「契約期間」を設けているケースがあり、放置すると勝手に自動更新され、同じ売掛先から毎月手数料を請求するという悪質なケースが報告されています。
定期的な資金調達方法として、ファクタリングを利用したいという場合もありますので、その場合は、契約期間や自動更新について確認してみるとよいでしょう。
⑧契約解除
ファクタリングの利用は正式な契約手続きです。
一旦締結してしまえば、利用者側から契約解除をすることは難しく、契約書の内容通りに履行する必要があります。
無用なトラブルを避けるためにも、ファクタリング会社選びは慎重にしましょう。
一方、利用者側が報告義務や支払義務違反をした場合は、契約は解除されます。義務違反の要件は異なる場合があるので資金返還などについて確認しておきましょう。
ファクタリングの契約後にすること

資金が手に入るということで安心してしまうかもしれませんが、ファクタリングは契約後も気を抜いてはいけません。
ここでは、ファクタリング契約後に必要な次のような手続きを確認しましょう。
- 入金の確認
- ファクタリング会社への支払い
- 債権譲渡登記の抹消
①入金の確認
あなたが指定した口座に、指定日までに振り込まているか、その当日中にチェックしましょう。
振込金額は契約通りですか?
不審な点が見つかったら、すぐにファクタリング会社に連絡しましょう。
②ファクタリング会社への支払い
2社間ファクタリングでは、売掛金の回収は通常通り利用者側で行います。回収した売掛金は、指定日時までにファクタリング業者へと送金して下さい。
③債権譲渡登記の抹消
2社間ファクタリングで「債権譲渡登記」を実施した場合は、取引終了後に抹消登記をしなければなりません。
手数料は数千円なので、忘れずに手続きしましょう。
まとめ
本記事では、「ファクタリング契約の流れと注意点」について書きました。
- ファクタリングの契約は、「売掛債権譲渡契約」
- ファクタリング契約時には、以下の4点に注意
- ファクタリングの契約内容はよく確認する
- 高額取引や初回利用時は極力対面で取引をする
- 少しでもおかしいと思ったら契約しない
- ファクタリングの契約書は必ずもらう
- ファクタリング契約書は、以下の8点を確認
- 手数料
- 債権譲渡登記の有無
- 償還請求権の有無
- 担保設定の有無
- 報告義務の有無
- 違約金等
- 契約期間
- 契約解除
いろんな手順があって、注意点も多いので面倒に感じた人が多いでしょう。でも一度経験してしまえば、そんなに難しい手続きではないので安心してください。
なにより大切なのは、信頼できるファクタリング会社を選ぶことです。優良なファクタリング会社を選びさえすれば、安心して契約を進められます。
以下の記事では、自信を持ってオススメできる優良なファクタリング会社を厳選して紹介していますので、ぜひ参考にしてください。