どんな事業であれ、人件費、仕入れ、家賃など本当に様々な経費がかかります。円滑に事業活動を展開するには、十分な事業資金の確保が必要です。
では、その資金はどうやって調達したらいいでしょうか?
事業資金とは?

当たり前のことですが事業経営には、お金が必要です。
事業資金とは、新たに事業を立ち上げたり、運営したりするために必要なお金のことです。
どのような事業を行うかによって、必要資金は大きく変わります。まずは自分が行う事業はどんなもので、どのくらい資金が必要かを明確にしましょう。
事業資金の調達方法

方法① 銀行融資
資金調達先として、多くの人は真っ先に銀行融資を思い浮かべるでしょう。
ただし、銀行といっても、都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合などさまざまな金融機関があるので、それぞれの特徴を押さえておくことが大切です。
一般的に、都市銀行や地方銀行では金利負担が低く、まとまった資金を調達できるのが魅力です。反面で審査が厳しい傾向にあります。
その点、信用金庫や信用組合のほうが、中小企業にとっては利用しやすいといえるでしょう。
銀行融資の審査では、財務内容と事業の将来性・安定性が重視されます。自社の経営状況をしっかり把握しておくことが大切です。
金利相場 | 2% ~ 9% |
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メリット | ・支店が多いので利用しやすい ・金利が比較的安い |
デメリット | ・審査期間が長い(約1カ月ほど) ・財務状況が悪い中小企業は融資を受けにくい ・新設の法人は融資を受けにくい |
方法② 日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府系の金融機関です。
中小企業への支援を積極的におこなっており、非常に低金利(平均1%〜2%の固定金利)で返済期間も長いことから、ぜひとも利用したい資金調達方法といえるでしょう。
特に、開業時の資金調達は、日本政策金融公庫の開業融資が最も優れているといえます。
一方で、利用には事業計画書をはじめ、様々な書類を用意する必要があり、専門機関の支援がなければ厳しい場合もあるでしょう。また、担当者との面談も必要になるので、他人任せの計画でなく、経営者自身が事業計画をしっかり説明できる必要もあります。
審査通過までも時間がかかってしまう点もデメリットです。
金利相場 | 1% 〜 2% |
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メリット | ・金利が非常に低い ・返済期間が長い |
デメリット | ・事業計画書など多数の書類が必要 ・審査に時間がかかる ・財務状況はかなり厳しくみられる |
方法③ 制度融資
制度融資とは、地方自治体・指定金融機関・信用保証協会が連携して、融資を受けやすくするための制度です。
メリットとしては、比較的融資が受けやすく、金利負担も低いことがあげられます。さらに自治体の中には企業が負担する金利の一部を補助してくれるところも。
一方でデメリットは、信用保証協会の保証料が必要な点、そして、自治体だけでなく金融機関や信用保証協会でそれぞれ審査が行われるため、融資までに時間がかかってしまう点です。
金利相場 | 1.7% ~ 2.2% |
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メリット | ・融資を受けやすい ・金利負担が小さい |
デメリット | ・信用保証協会の保証料が発生してしまう ・審査に時間がかかる ・税金の未納がある場合は利用できない |
方法④ 助成金・補助金
助成金と補助金はどちらも返済不要のお金です。同じような名前ですが、それぞれ明確に異なります。
助成金は厚生労働省が管轄しており、雇用・労務環境の改善等を目的としたもので、いつでも申請ができます。ただし、要件をクリアするのが難しく、受給までに時間がかかるというデメリットもあります。
一方の補助金は経済産業省が管轄しており、新規事業や設備投資等、事業の円滑化を目的としたものです。
助成金は要件をクリアすれば審査はありませんが、補助金は審査があるため、その準備に時間がかかりがちです。また、助成金と違い、募集期間が非常に短いこともデメリットといえます。
どちらにも共通の注意点として、制度ごとに上限額があり100%受けられるとは限らないことです。
金利相場 | なし |
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メリット | ・返済不要である |
デメリット | ・助成金は要件をクリアする基準が高い ・補助金は募集期間が短い ・受給までに時間がかかる ・どちらも上限額があり、申請すれば受けられるとは限らない |
方法⑤ ノンバンクからの借入
ビジネスローンや不動産担保ローンなど、ノンバンクを通じて事業資金を調達することも、一般的によくある方法です。
ノンバンクの一番のメリットは融資実行スピードの速さ。最短で即日の資金調達が可能です。さらに、資金の用途は限定されないため自由度の高さも人気の秘密です。
一方で、金利負担は銀行融資に比べて非常に大きく長期的な借入には向きません。また、融資限度額が低いのもデメリットです。
利用にあたっては、複数業者を比較しましょう。金利負担が大きく変わってくることがあります。また、保証人をつけることで金利を下げられる可能性もあります。
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金利相場 | 年率15%程度 |
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メリット | ・融資実行までのスピードが速い ・資金用途が限定されず自由に使える |
デメリット | ・金利が高い ・融資限度額が低い ・担保・保証人が必要なことが多い |
方法⑥ ファクタリング
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで資金調達を行う手法です。
以下の記事で詳しく解説しています。
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金利 | 手数料として売掛債権の1%〜30% |
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メリット | ・調達まで最短即日 ・保証人や担保が必要ない ・売掛先の信用力次第なため、自社の経営が厳しくても調達可能 |
デメリット | ・手数料が非常に高額 ・売掛先に利用が知られるとトラブルになることも |
方法⑦ クラウドファンディング
近年増えているのが、インターネットを通じて不特定の第三者から資金を募る「クラウドファンディング」です。
クラウドファンディングを利用することのメリットは、募集自体は無料で行なえ、さらに自社の事業活動を宣伝する効果も期待できることです。
一方で、事業計画が多くの人の興味を引くようなものでなければ、目標額の資金を調達することが難しいことや、事業計画を公表することで競合他社にアイデアを盗用されるリスクがあるなどのデメリットもあります。
金利相場 | 4% 〜 15%(参考値) |
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メリット | ・募集は無料でおこなえる ・事業活動のアピール効果も期待できる |
デメリット | ・興味をひく事業計画でなければ調達は難しい ・他社にアイデアを盗用される可能性もある |
事業資金の調達に関する注意点

十分な資金額を確保しておこう!
ビジネスを行う上では、支払いが先、売上の回収は後になる場面がほとんどです。
入出金サイクルがうまく回らないと、資金繰りは困窮。最悪、手元資金が無くなれば、たとえ売上が上がっていても事業継続が不可能になります。これがいわゆる「黒字倒産」です。
日々の経営においては、事業資金を十分に確保しつづけることが大切です。
資金調達の目的を明確にしよう!
自己資金だけで事業資金をまかなえない場合、資金の調達方法を考える必要があります。ほとんどの場合、それは融資によるものとなるでしょう。
融資を受ける場合、必要な資金額だけでなく、融資の目的・調達資金の用途等を明確にする必要があります。最低でも、以下のことを説明できなければ話になりません。
- 事業の状況
- 資金額
- いつまでに必要か?
- 融資を受けることで得られる利益
- 返済計画
これらを明確にした事業計画書や資金計画書を作成し、融資先が納得する説明が必要です。
当然、事業計画書等の作成には多くの時間を要します。場合によっては専門家の力を借りることも必要です。
調達先は慎重に選ぶ
資金調達が必要なときは、時間的余裕があまりないことも多いものです。しかし、調達先は慎重に選ばないと、思いがけないトラブルに巻き込まれることもあります。
また、一つの調達先だけを当てにしていると、そこがダメだったときに行き詰まる恐れもあります。
まとめ
本記事では、「「事業資金」とは?覚えておきたい資金調達7つの方法」について解説しました。
どの資金調達方法にも、メリットとデメリットがあります。事業の状況や資金の必要な時期を考え、計画的に利用するようにしてください。